慶讃法要記念俳句の結果発表について
このたび宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要記念俳句を募集しましたところ、全国各地495名の方々から2153句の応募がありました。たくさんのご応募をいただき、ありがとうございました。
応募句は事務局にて清記し、投句者の名前を伏せたうえで選者の先生方に選句していただきました。
結果を以下のとおり発表します(敬称略・順不同)。
また、本結果については、慶讃法要期間中、境内高廊下におきましてパネルを掲示しておりますので、ぜひご参拝の際にご覧ください。
慶讃法要大賞
安原葉撰
慶讃の法会に侍る花衣 大阪府 河辺さち子
≪選評≫
宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要を迎える心持が詠まれた句です。「侍る」は作者が僧職であれば出仕、参詣者であれば参詣の意でしょう。「花衣」は桜の花見に着る晴れ着ですが、作者が僧職であれば華やかな法衣、参詣者であれば晴れ着でしょう。この句は、この両者に通じるように詠まれているところが見事です。花の季節に営まれる慶讃法要を迎えるに相応しい佳句です。
稲畑廣太郎撰
かけがへのなき命継ぎ蘖ゆる 石川県 村上秀吾
≪選評≫
「蘖」は樹木の切株や根から新しい芽が伸びる、その若芽であるが、印象に残っているのは平成二十二年三月十日、神奈川県鎌倉市にある鶴岡八幡宮にあったあの「鎌倉殿の十三人」の時代を知っている大銀杏が倒伏したが、しばらくして根元から若芽、つまり蘖が萌え出ていたのを筆者は見た。この句は季題を通して継がれゆく命の尊さを詠んでいるが、その心持ちが正に今回の記念に相応しい神々しさに満ち溢れた句になっている。
坊城俊樹撰
歎異抄その果深き虫の闇 新潟県 蝗一
≪選評≫
「虫の闇」とは暗闇に鳴く秋の虫たちの潜んでいて眼には見えない世界のこと。その鳴き声だけが深淵で無限大のように迫ってくる。果たして宇宙の中での仏の真信を見極めようとする歎異抄というものもそうなのだろうか。親鸞の本意を虫たちがあたかも代弁しているのか。とまれ俳句において最も美意識の高いこの季題を取り合わせた作者の感性に共感した。
星野高士撰
坊守の笑顔まぶしき白障子 神奈川県 陌間 みどり
≪選評≫
俳句は何といっても季題が効いているかどうかが一番大事。この句も何でもないような一場面であるが、白障子という純白なものを持って来たところが、新鮮味のあるものになっていた。坊守は寺坊の番人のこと又浄土真宗では住職の配偶者のこと。その坊守は僧と共に寺を守るので、笑顔の裏側には苦労も見えるのであろう。しかし笑顔はご信徒等の救いにもなるのである。障子は本来寒さを防ぐためにあるが、この作品では風情の要ともなっていた。
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